消えた月

今宵の月も朧月
風が冷たく私の頬裂く

春なのに

町にはまだ灯が
駅ビルの横で
やかましいくらいのネオンが
鬱陶しいくらいの雑音が

夜なのに

本来闇で輝く筈の月は独り
本来ひとつの光の筈である月は 人工の光に負け
本来闇に包まれなければいけない筈の道は照らされる
作った光によって

本来夜空を飾る筈の星は 明かりと雲によって消え

ただひとつ 空に輝く月は
忘れ去られたように独り




同胞よ
月を見よ

私の焦がれる月を見よ

真の闇を知るがよい


そんな願いは月に届かず

月は霞み
静かに消えた

 

光と闇と共に


 

 

3/21 小夜
闇と光、そして月が恋しい。
そして、太陽も。

 

 

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