命は軽い、とお前が言った
「だってそうだろう」
ナイフで刺せば人は死ぬ
銃で撃てば人は死ぬ
首をしめれば人は死ぬ
それこそ、あっけなく
「命は軽いよ」
お前は言い切る 俺は曖昧に頷く
「そもそも命に重さなんてないのさ」
けらけらと笑って
「命じゃなくて、存在が重いんだ」
死が重くなることはあるんだ
そのひとにとって大切なひとなら その瞬間死は重くなる
そう言ってお前は笑う
今度はたしかにそのとおりだと 俺は大きく頷いた