過ぎし時。月が沈み世界は目覚める。
「いくの?」
赤髪の少女は問うた。
「いくよ」
かたりと戸をあけ少年は答える。
「そう」
少女は寝転がったまま。
そうして笑った。
「さようならね」
「そうだね」
「さようなら」
「さようなら」
またね、などという言葉は言わない。少女は彼を追いかけない。
ただ、見送る。
「さようなら」
幸福な時間に終止符を。
そうして新たな時が廻り出す。