「夢を見たの」
寝ぼけ眼の幼子が言った。
お昼寝から目覚めたそのあとで。
「どんな夢だい?」
 
明るい老婆は幼子にそう聞いた。
「おばけがでてきたの」
「…怖かったのかい?」
 
泣き出すかと思った幼子は、老婆の予想とは裏腹に。
勢いよく首を横に振る。
無邪気な笑顔でにっこりと。
「おばけがね、一緒に遊んでくれたの」
花の開くような笑顔でそう言って。
老婆は一瞬目を見開いた後に嬉しそうに言った。
「それはよかったねぇ」
 
老婆も同じようににっこりと。
 孫の笑顔を見てにっこりと。
 
 
 
 ただただ平和だな、と感じた午刻の話。
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