「夢を見たよ」
銃を抱えた少年が言う。
傷だらけの顔で、泥だらけの顔でそういう。
「夢?」
夢を知らない友人が問う。
そう、と少年は笑った。
「とっても、幸せな夢」
「しあわせ?」
「うん」
頷いてまた笑う。
どんな?と聞きたげな友人に、少年はまた笑った。
「この世界から、争いがなくなる夢」
銃を抱えた少年が言う。
戸惑いながら友人が眉をひそめる。
それに気がついて少年はまたわらった。今度は悲しそうに。
「俺らがいる限り無理だろうけどな」
夢が現実になりますように、と。
そう願ったある日の夕方。